障害者福祉の「モヤモヤ」本に
当事者・支援者 両方の視点で
発達障害があり、精神・知的障害者のグループホームを運営する山口政佳さん(48)=松本市県3-が、著書『ADHDの僕がグループホームを作ったら、モヤモヤに包まれた』を明石書店(東京都)から出版した。障害者福祉の現場で、当事者と支援者両方の視点を備えるために感じた疑問や不安を発信している。北海道出身の山口さんは24歳で注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断を受け、その後長野県へ移住。同じ立場で話を聞き合うピアカウンセリングを学んで障害者支援に携わる中、平成30(2018)年に仲間と松本市内にグループホームを開設した。支援しながら感じたのは、障害者に必要以上に失敗を回避させる風潮や、支援を当然とする当事者の存在、福祉サービスを提供したくても資金面で思うようにできない事業所のもどかしさなど。そうした「気持ちの悪さ」を伝えようと、協力者を得て本にまとめた。障害者の甘えや権利、支援の在り方などをテーマに3章で構成。それぞれ山口さんの思い、具体的なエピソード、児童精神科医との対談を盛り込んだ。山口さんは「後で『声を上げなかった』と思いたくなかった。読む人の立場に置き換えて一緒にモヤモヤを感じてもらえば」と話している。四六判、200ページ1600円(税別)でオンライン書店などで扱う。
市民タイムス 令和5月30日(火)
著者について
◆著者紹介
Amazon.co.jp: ADHDの僕がグループホームを作ったら、モヤモヤに包まれた――障害者×支援=福祉?? : 山口 政佳, 田中 康雄: 本
山口政佳(やまぐち・まさよし)
発達障害者。ピア・カウンセラー。
COMMON SENSE MATSUMOTO合同会社 グループホームここっち運営者・サービス管理責任者。
田中康雄(たなか・やすお)
こころとそだちのクリニックむすびめ院長。児童精神科医師。臨床心理士。北海道大学名誉教授。
『僕の児童精神科外来の覚書――子どもと親とともに考え、悩み、実践していること』(日本評論社、2022年)、『「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する』(SBクリエイティブ、2019年)
市民タイムス令和5年5月30日の記事で、松本市在住の山口政佳さんが当事者・支援者 両方の視点で書いた書籍の紹介が記載されていた。自身が特別支援教育を学ぶ中で、障害を100%理解して支援することが大切と講義の中で教授されたが、発達障害児の子育てを経験してきた筆者にとって正直、身近で障害について携わったことのない人の意見だと思った。私自身も支援者側で当事者の困り事や胸の内はわからないが、子育てする中での不安や気持ちの落ち込み、相談できる場所や相談できる人の存在など様々なことに悩んできた。当事者でなければその人の辛さを100%なんて理解することは出来ないが、寄り添って耳を傾けることから手助け出来れば良いと思う。そのためにも、当事者発信の書籍に触れることも良いのでしょう。