2学期に増える不登校、4つの兆候を見逃さず「育ち方の1つ」と腹をくくろう

2023.9.15 16:56
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不登校児童生徒(小中学生)が急増している。文部科学省の統計によると、2021年度は過去最多の24万4940人となり、9年連続で増加した。前年度から約5万人も増えている。自身の経験から不登校新聞編集長の石井志昴氏によると、小・中学生の不登校が一番増えるのは2学期が始まるタイミングだという。今回は石井氏に、子どもが学校に行けなくなった時の「親の心構え」を聞く。石井氏は、「子どもが学校に行けなくなると、親はうろたえるのが当たり前」と話す。その上で、親はどのような態度で子どもと接し、具体的にどのように行動すればいいのだろうか。

2023.9.6 JBpress

見逃してはいけない4つの兆候

1.まずは休ませる

Q1.子どもが「学校にいきたくない」と言ったり、朝起きられなくなった場、親はどのように接すれば良いのでしょうか?

A1.大前提として、「学校に行きなさいは」と命令したり、子どもを学校まで引きずって行ったりするのは逆効果です。子どもにとって学校に行かなくなるということは、一大事なことです。決して軽い気持ちで「今日は行きたくない」というふうに考えているわけではありません。

多くの場合、本当に心が傷ついて、身体が異常反応を示すようになっているのです。「学校に行きたくない」と言われたら、かぜをひいた時と同じようにまずは休ませることが大切です。

そもそも、子どもが不登校になるまでには穏やかなプロセスをたどることがほとんどです。例えば、何日か連続で休んだ後、全く学校に行けなくなるといったような形です。子どもは親の期待に応えようとするので、「学校に行きたくない」とはっきり伝えることができるケースは稀です。子どもの「SOS」は言葉にならないのです。

2.言葉にならないSOSをどのように聞くのか

Q2.子どものSOSにはどのような種類があるのでしょう。

A2.大きく4つに分けられます。➀体調不良 ➁不眠 ➂食用不振 ④情緒不安定 大人でも子どもでもこれらの症状は普段から経験することですが、不登校につながる可能性があるのは、「何日も続く」という状態。お子さんが何日も続いていてこのような症状を見せた場合、注意が必要です。子どもが感じているストレスが限界にまできている可能性があります。

Q3.具体的には、親はどのようなコミュニケーションを心がければ良いのですか?

A3.覚悟を決める。腹を決めて「子どもの話を『腰を折らずに』最後まできく」ことを意識してください。子どもが「学校に行きたくない」と言い始めたら、「この子は不登校になってしまうのではないか」と不安になると思いますが、そうした不安は一度脇に置いておいてください。親が逃げずに、子どもに向き合うことが一番大切です。

最近の様子を見てあなたのことが心配だ、とはっきりと伝えてください。「何があったの?」と。

親が話しかけると、子どもはかなり遠回りをしながら、ゆっくりと学校で起きた出来事や抱えている心配事を話始めます。その際に、途中で「考えすぎだよ」「それはあなたが悪いのよ」と遮らないことです。とにかく、最後まで子どもの話をゆっくり聞く。

途中で遮ってしまうと、子どもは「誰もわかってくれない」とさらに塞ぎ込んでしまい、状態が悪くなってしまう可能性すらあります。反対に、子どもの話を最後まで聞いてあげると、子どもは「親は自分のことを大切に思ってくれる」と信頼感が増し、自己肯定感が高まっていきます。

学校を休みがちになっている子どもの自己肯定感はすごく落ち込んでいる状態です。「あなたは、あなたのままで良いんだよ」というメッセージをぜひ伝えてあげてください。

3.信頼できる第三者に相談しよう

Q4.子どもが「学校でいじめられている」と打ち明けたら、どのように対応するべきでしょう?

A4.親が第三者に相談する。第三者とは、親が一番信頼できる相手です。小児科医やカウンセラー、祖父母などが挙げられます。

第三者として選ぶべきでないのは担任の先生です。学校は子どもを無理やりクラスに連れ戻そうとする傾向が強く、傷ついている子どもへの対応は不向きだからです。

親は子どもが学校に行けなくなると、自分を責めてしまいがちです。そうした感情は一度置いておいて、具体的な行動に移すことが重要です。

親が「学校に行かなくてもいい、不登校でもいい」と思うことはなかなか難しい。「学校にいって欲しいと願うのは、極めて自然でしょう。子どもは親が思っている以上に親のことを見ていますので、親が笑顔だと子どもも笑顔になり、ストレスが和らぐものですよ。

Q5.第三者に相談した後は、どうすればよいのでしょうか?

A5.まずは、学校を休ませましょう。心の傷が治らないうちに無理やり学校に行かせても学校に行けるようにはなりません。子どもが休んでいる、つまり家にいるうちは親も戸惑うかもしれませんが、まずは何もさせずに心の充電に時間を充てましょう。

子どもを休ませていると、親は「いつになったら学校に行けるようになるだろう」と不安になると思います。一般的には、子どもが抱えている心の傷の深さに応じて、学校に行けるようになるまでに必要な充電期間が決まります。「何もしない」ことは親にとっても大変なことだと思いますが、ここは我慢して欲しいところです。

4.学校に行かない間、親ができる3つの行動とは?

在籍している学校に毎日通う以外の選択肢を、親自身が用意すべく動き始めるのがベストだと思います。具体的には以下の3つのアクションを勧めています。

➀近くのフリースクールの相談する。

フリースクールでは子どもの体験入会や親向けの相談会を実施している施設が多いです。そこに相談してみるのも方法の一つです。

➁地域の教育支援センター(旧中間教室)に相談する

教育支援センターは不登校の子どもを受け入れてる公の機関です。こちらは場所によって運営のクオリティにばらつきがあるのが難点ですが、中にはものすごく熱心に不登校支援を長年されている教師の方もいますので、相談してみると良いと思います。

➂子どもが通っている学校の1つ上の学校(子どもが小学生なら中学校、中学校なら高校)に相談する

トリッキーな方法ですが、とても有効です。子どもが小学生の場合、中学生の方が不登校の数が多いので、具体的なノウハウも蓄積されているケースが多く、高校は小中学校時代に不登校経験がある生徒を受け入れている学校も多いです。こうした「カテゴリーが1つ上の学校相談」の最大のメリットは、親の不安と希望、子どもの希望の3つを考慮した上で、現実的な将来の選択肢を指示してくれるところにあります。すると、子どもが家にいる今でもできることが見えてくるでしょう。今通っている学校とだけ対応していると、「学校に行かせてること」だけが目的化してしまい、親も子どもも、身動きが取れなくなってしまいます。ハードが高く感じるかもしれませんが、一度電話で問い合わせても良いでしょう。

まとめ

不登校は「育ち方の一つ」

不登校になるとどうしても未来に起こりうることを先回りしすぎて、不安になりがちです。しかし、子どもが今この瞬間、笑顔であれば心の傷も少しずつ回復し、結果的に外の世界に出ていく期間も短くなるものです。

子どもにとっては、ありのままの自分を受け入れてくれる「安全基地」が必要です。自分の家で、自分が安心して過ごすことができれば、子どもは学校や地域社会という場所に失敗しながらも冒険することができるようになります。

学校を休んでいる期間は、子どもにとっての幸せとは何かを考えるまたとない機会だ、とも言えるかもしれません。

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