草潤中学校の校長先生の講演会に行ってきました!
2024年12月21日に主催「個と多様」ーこれからの特別支援教育を学ぶ会」が岐阜市立草潤中学校の鷲見佐知先生をお招きして講演会が実施されました。テーマは「不登校について考える~一人一人に学びを届ける~」です。
最初に、主催者情報として、こちらの団体は、愛知教育大学の教職大学院で現在学んでいる先生・修了された小中学校の先生方4名が特別支援について学びたいテーマを考え、講師を招いて勉強する会です。今年の8月からスタートした団体で、今後は年2回の講演会を実施する予定だそうです。
次に、講師の先生の紹介です。草潤中学校の鷲見校長先生は、岐阜県の教諭、岐阜県教育委員会、岐阜市教育委員会、夜間の通級指導教室の立ち上げに携わるなど様々な職場でご活躍された先生です。現在は、草潤中学校の校長として現場の先生方と対話を大切にして毎日、子どもたちがどのようにしたら元気になって通いたい学校になるのか考えているとお話しされていました。
草潤中学校は、多様な学びの学校(旧不登校特例校)として、2021(令和3)年4月に岐阜県岐阜市に設立された学校です。定員を40名としていますが、令和6年現在は46名の生徒が在籍し、教員は23名です。中部地方初となる公立の不登校特例校であり、岐阜市内から生徒を受け入れています。(市立小学校からの入学、市立中学校からの転校、市外から岐阜市に転居した方の受入れは可)
今回の講演会は、6つのチャプターで行われました。
1⃣何が辛かったか… 草潤中学校の子どもたちがどんなことで苦しみ、学校に行けない時期をどのように過ごしていたのか、学校のシステムについて話をされていました。特に印象的だつたのが、鷲見校長先生が文部科学省の不登校調査で無気力って書いてあるけどそうなのかな?という問いに対して、生徒は「最初は気力があったけど、どんどん勉強が分からなくなって、友達がいなくなって無気力になったの」と答えたそうです。確かに‼自分事と考えたときに私も同じ思いになると感じました。また、鷲見先生は「どちらかが無気力の場合はまだ何とか学校に通えるが、両方を失った時に子どもは学校に行けなくなる」と話されていました。
2⃣草潤中の体制… 開校時の理念として、「ありのままを受け入れる」「学校らしきものを一度なくす」ということで、草潤中は、①個々の自主性を尊重②決まりごとが「ない」学校。唯一の決まりごとは、「いまココボード」にどこにいるのかをマグネットで貼ることだけだと話されていました。教師のめざすものとしては、①心身の安心を取り戻す②新たな自分の可能性を見出す。それができるようになると生徒は、自分の決めた場所で、自分の決めたい方法で、自分の学びたいことを学ぶことで、自己選択が出来るようになるそうです。
3⃣安心を保障する… 信頼できる大人と活動の選択として①一人一人に寄り添う。具体的な支援としては、個別担任との関係作り、全教職員でのフォロー、個人カルテの作成が上げられていました。②選択できる活動を仕組む。③マイナビプランの作成、入力。こちらはタブレットで生徒に今日の過ごし方を決めてもらい見通しを持たせているそうです。
4⃣個に応じた学びを提供する…自分の学びの位置が分かるように、数学・英語では「戻る」、社会・理科は「取りこぼさない」をモットーに生徒が今、自分がどの位置にいるのかがわかるようにすごろくを作り、「可視化」「構造化」する工夫を行っている。また、先生方はデジタル教材を活用したり、沢山のドリルやプリントを探してその子にあった教材を日々、探しているそうです。さらに、同時進行で多様な学びを提供するというものでは、例えば、教室では3年の2次方程式・ギフテッドルーム1 3年の平方根、ギフテッドルーム2 1年の平面の図形など同じ3年生でもそれぞれの生徒がつまずいた場所から学び直しや学びの継続ができるようです。
5⃣他と関われるようにする… ①まずは教師。個別担任、すべての教師が関わる ②先輩、他学年。やさしく歓迎、憧れ、全校行事、縦割りでチーム分け(←とくにここが大事)③同級生。ピースタイムでSST、学年行事で仲間意識、教師の仲介が必要➃地域の方に。一緒に活動など…他者と関われる機会を多く設けているそうです。
6⃣学校に行きづらい子どもを支えるために… 「教師は、子どもの苦しさをキャッチして、共感していくことが大切」と話されていました。
最後に、グループでの話し合いの場では、岐阜県の可児市の教諭と愛知県春日市の教諭の方とご一緒でした。始めて会う方々でしたが、子どもを思う気持ちが共通しているため、次から次と話が途切れなく行われ、また、様々な自治体の取り組みや課題など情報交換することができました。最近、競演会やシンポジウム、フォーラムなど参加する機会が多いのですが、外に出て色々な立場の方とお話しすると、自分が知らなかったことを知ることが出来たり、人と人との出会いの中で、ネットワークが広がり支援の幅も広がることを実感しました。